濃厚な鶏だしおでんと一緒に濃厚な恋も捨ててきた。けど、後悔はしていない。

男とはほとほと自己中心的な生き物だと思う。

みんな私のことを「食べログ」だか「Retty」だかはたまた「ぐるなび」くらいに思ってる。 

今日はまたひとり、いや、厳密に言うと1人しかいなかったうちの1人に白黒つけた。  

理由はきっと私を「しゃべる食べログ」くらいに思っているだろうから。


美味しいお店こそ、気の知れた仲間やそのお店の料理の良さがわかる人と一緒に行きたいと私は常に思っている。

そして心を寄せる好きな人とは、なおのこと一緒に行きたいって思ってしまうのが女の性。 


 一緒に行ってくれるのはいいのだけれど、会うたびに 

「やっぱりゆかりの教えてくれるお店は美味しいお店だね、他にはどこかないの?」 

って聞かれるのがいつも嬉しくてたまらなくて。でもそこから何も変わらない。 

教えたお店、今度行こうねっていうけど「今度」っていつだ? 

また私から誘いのラインを送らないと一緒に行けないのか?

返事を何時間も待たされるラインを眺める日々をまた過ごすの?なんて頭の中がグルグル。


向こうからしたらただの

 "美味しいご飯屋さん知ってる、ちょっと気の合う話の面白い女の子(付き合う気はないけど)” 

といった役回りに自分がなっているのでは?

と気がついたのは、 勇気を出して好きだと伝えたものの、彼にフラれ…それからショックで連絡をしばらく断ち、 また再開して〜のすったもんだを経て、出会いから数えれば2年近く経った今日。 

(スピード婚の時間軸なら付き合って・結婚して・子供も生まれてる、きっと。) 


中目黒の高架下にある濃厚な「鶏出汁おでん」が味わえるずっと行きたかった 

『鶏だしおでん さもん』(https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131701/13203149/) で。

彼に何度も  

「私のこと、食べログだと思ってるでしょ。笑」

ってふざけていいながら日本酒を飲んだ。 

(だって、他に美味しいお店最近なかった?って突然聞くんだもの。いつものことだけど。) 

そもそも彼は仕事で30分遅れてきたけど、悪びれることもなくいつもの調子で  

「そんなわけないじゃん、でもRettyかもね、なーんてね。笑」 

なんて言うんだから虚しくなる。 

いつもならおでんに迷わずのびるはずの箸もなかなか進まなかった。 


「もう、毎度一緒にご飯を食べたり出かけたりしている男女2人の間にこの先の進展がないのなら、 しっかりと見切りをつけよう。平成とはこれでおさらば!令和を清々しく迎えるのよ!!」 

そう心に決めてから今朝、家を出てきた自分の精神状態では、おでんの味の記憶も写真も何も手元に残っていない。 でも店員さんは長いこと待たされている私をずっと気にかけてくれてやさしかった。 細かい気配りの素晴らしいお店だった。それだけが救いだった。 


別れ際の東横線で、意を振り切って 

「好きだからこそ、もう会うのをやめたい。」 って言った私。 

これだけでも自分を褒めてやりたい、よく言った。 

おでんもたらふく食べて、日本酒も効いて、切り出しやすかった。 

これでいいと思う。このセリフを機に"食べログ女"からは脱却したんだから。 


家に帰ってきて、チョコレートのアイスを頬張りながらブログに思いを綴る私。 

身の上話を切り売りする様でこんなブログ情けないのだけれども、結局食べ物は私を裏切らない。 

明日また美味しいものを食べて元気をだそう。今、そう思っている。  

食べることが好きだ、食べることに支えられてる。


おでんの味を覚えていない後悔は残ってるけど、 

彼にさようならを告げたことは何も後悔していない。 

少し落ち着いたら、今度こそ正気の精神状態で『さもん』に行こう。  

今日がおでん日和の少し肌寒い日でよかった。                 

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